アマチュア無線は素敵だ

noiseがあふれるそんな日は読書で時間を忘れよう

アマチュア無線を再開する理由

 休日の散歩コースでアマチュア局のアンテナを幾つか見かける。見るたびに方向を変えているものもあれば、決まって同じ方向を向いているアンテナもある。何らかの事情があり休止しているが、いつかは再開するつもりでアンテナだけは降ろさずに頑張ってるんだろうなと想像したりしている。

 私がアマチュア無線を休止する直接のきっかけは、進学が東京に決まり地元を離れざるを得なくなったからだ。それでも、夏休みや春休みに帰郷した時には、しばらくは電源を入れて懐かしい局を探したりもしたが、都会での生活に慣れるにしたがい帰省期間も短くなった。そして無線機の前でマイクを握ることは次第になくなり、ついには無線機がおかれている部屋に入ることさえなく、電源は落とされたままになってしまった。

 今では在来線に代わり新幹線になってしまったが、それまでは上京するのにも特急で3時間、急行で4時間かかった。急行でゆっくり走っていくと、東京に向かって左側に熊谷周辺で大きなタワーが見えて来る。そこを過ぎると気持ちが東京へと切り替わったものだ。地方から都会への通過点。ランドマークだった。故郷を離れる寂しさもあったが友人たちとの再開を思うと心が弾んだもの。

 現在、東京まで新幹線で1時間半だ。早すぎて否応なく東京に到着だ。在来線と新幹線では通過地点が違うのかあのタワーを目にすることはないが、きっとそんな時代の流れとは関係なくアンテナは毎日方向を変えているに違いない。

 はじめて電波を出したあの日ほどのワクワク感はないものの、無線機に電源が入るとやっぱり何かを期待する。

 その感じが忘れられなくて、私はアマチュア無線をまたはじめたのだと思う。

f:id:mocume:20190709143957j:plain

 

理由 (朝日文庫)

理由 (朝日文庫)