アマチュア無線は素敵だ

noiseがあふれるそんな日は読書で時間を忘れよう

ストームグラス(Storm Glass)

 朝には車の暖機運転が欠かせない季節になってきた。無線を楽しむにも暖機運転が不可欠で、まずは寒い部屋に入ってエアコンの暖房を入れなければならない。勇気と思い切りが必要で、それが夜ともなればなおさらだ。

 無線機を設置してある部屋にはドーム型の容器のなかの真鍮に目盛りが刻まれていて気温、湿度、気圧がわかるアナログの計測器がある。デジタルの室温計と比べると結構誤差があるし見づらい。そして、それと並んで「ストームグラス」がある。仕組みはよく知らないが、樟脳などが入っていて白い沈殿物が形を変え24時間先の天気を教えてくれるというものだ。

 確かに室温によってグラスの白い沈殿物の量に変化があり、また台風などの気圧の変化には形を変える。実際に19世紀初頭には航海時に天気予報の道具として使われていたようで、有名な冒険小説「海底2万マイル」の潜水艦ノーチラス号にもストームグラスが登場するらしい。あのネモ船長もこれを使って航海をしていたのだ。そう考えるとなんだかロマンを感じる。しかし、1時間単位で正確な予報が手に入る今ではほとんど役に立たない。

 正確さが身上のデジタルモードでのアマチュア無線と、どこまでもアバウトな二つの計測装置が同じ部屋で楽しめる。

 それは、寒くても思いのほか幸せなことなのかもしれない。

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